1. はじめに いわゆる"サービス残業"や過重労働が社会問題となり、労働時間を適正にする目的で、労働基準法が改正された。改正された労働基準法に対応するため、会社の人事・総務部門は社員の労働時間を適正に把握することが求められる。 そこで、入退室管理システムの取得した「誰が・いつ・入室/退室したか」という情報を自動的に就業管理システムに取り込む連携ソリューションのニーズが高まっている。 2. 改正労働基準法 労働基準法とは、労働者保護を目的に、労働時間・賃金の規則や就業規則等労働に関する規制を定めた法律である。深刻化する長時間労働の問題に対処するため、労働基準法が改正され2010年4月1日から施行された。改正労働基準法では、時間外労働の削減、年次有給休暇の有効活用を促進する規則が新たに定められた。 改正労働基準法では、労働時間の適正な把握が求められるため、労働基準監督署は、社員の自己申告による労働時間の把握ではなく、タイムカードやICカードを用いた客観的な記録による労働時間の把握を求めるようになった。 3.就業管理システム 就業管理システムは、従来紙ベースで実施していた出勤時間管理、残業時間管理、休暇管理等勤怠管理をPCにより電子的に効率よく実施するシステムである。効率向上の機能として、入力漏れやミスを防止する入力チェック機能、入力された勤怠データを給与計算システムに渡す機能を持つ。また、改正労働基準法遵守を支援する機能して、改正労働基準法に定められた適切な労働時間が守られているかチェックする機能を持つものもある。会社の人事・総務部門には必須の情報システムとなっている。 4.入退室管理システム 入退室管理システムは、建物やフロアへの入室・退室を管理し、不審者の侵入を防止する。社員の認証には非接触ICカードの社員証を用いるのが一般的である。具体的には、カードリーダに社員証をタッチすることで、社員証のIDを読み取り、IDが許可されたIDリストに載っていればゲートや扉が開くという仕組みである。 入退室管理システムは、社員に関連付けられたIDを読み取ってリアルタイムに処理を行うので、IDと時刻情報を記載したログを取得することで、誰がいつ入室・退室したかを把握することができる。 5.就業管理システムと入退室システムの連携 入退室管理システムが取得する「誰が・いつ・入室/退室したか」という情報を自動的に就業管理システムに取り込むことにより、社員の自己申告に頼らずに、出社時間・退社時間把握できるため、労働基準監督署が求める客観的な記録による労働時間の把握が可能となる。さらに社員が入室時間・退室時間を打刻する手間も省ける。 就業管理システムと入退室管理システムの連携では、入退室管理システムから出力される入室・退室履歴を、リアルタイムに、もしくは少なくとも数分以内に就業管理システムに反映しなくてならないという課題がある。一般に、入退室管理システムは、入室・退室履歴を事件・事故発生時の事後確認目的で蓄積する機能は備えているが、外部システムが参照する機能は備えていない。また、就業管理システムは、出勤・退勤情報をファイルから取り込む機能は備えているが、入室・退室履歴をリアルタイムに受信する機能は備えていない。 よって入退室管理システムがリアルタイムに入退室履歴を蓄積する機能を利用し、下記を行なう。 (1)入退室管理システムから入室・退室履歴を受信し蓄積する履歴データベースを設ける。 (2)履歴データベースは、一定時間間隔(数分から10分程度)で、その時間間隔に受信した入室・退室履歴を、就業管理システムの出勤・退勤情報ファイルフォーマットに変換して出力する。 (3)就業管理システムは、同一時間間隔で、出力された出勤・退勤情報ファイルを読み込む。 6.まとめ ITによる社会貢献の身近な例として、サービス残業・過重労働という社会問題に、勤怠管理効率化のための就業管理システムと建物・フロアへの不正侵入防止のための入退室管理システムのITによる連携が活用される事例を紹介した。異なる目的を持ったシステムのITによる連携は、スマートシティ構想等低炭素社会の実現にも必要となる。ビル設備、家庭の家電、自動車、太陽光発電システム等さまざまな機器・システム間を情報ネットワークで接続し、監視・制御する必要があるからだ。安全・安心・便利・快適な社会の実現に貢献するITによる機器・システムの連携に今後も積極的な取り組みが求められる。 労働基準法・専門業務型裁量労働制
~ 抜粋 ~ 健康・福祉確保措置 健康・福祉確保措置をどのように講ずるかを明確にするためには、対象労働者の勤務状況を把握することが必要です。使用者が対象労働者の労働時間の状況等の勤務状況を把握する方法としては、対象労働者がいかなる時間帯にどの程度の時間在社し、労務を提供し得る状態にあったか等を明らかにし得る出退勤時刻又は入退室時刻の記録等によるものであることが望ましいことに留意することが必要です。 出典:公益財団法人日本生産性本部 情報化推進国民会議 健全な情報社会をめざして第166号 2011年4月1日発行
---- 「改正労働基準法」で重要となる労働時間の把握 『自己申告に頼らない客観的な記録による労働時間の把握が重要』 タイムカードによる打刻 ・・・ そもそも客観的ではない 打刻後に残業のケースも・・・ パソコンの使用時間 ・・・ ログインしたまま帰宅という事例も多発 入退室管理システムは操作をしない(履歴を残さない)と扉が開かず、移動ができないため不正をしにくく、実際の業務時間と最もリンクしている履歴と言われています。 また打刻専用のカードリーダ等は必要なく、その日発生した全ての入退室管理履歴の中から最初の履歴を「出勤」、最後の履歴を「退勤」とすることで、社員が意識せずに就業時刻を管理することが可能となります。 この企業は「エントランス」「通用口」が外部からの 入退館ルートとなっています。 勤怠リーダを設置する場合は通常「通用口」の内側に出勤用リーダ、退勤用リーダを置くことになりますが・・・ 入退室管理履歴を勤怠履歴とした場合 「最初履歴を出勤/最後履歴を退勤とすることが可能」 ※2箇所に出勤/退勤リーダをそれぞれ置かなくて良い ※万が一入退館を忘れても、直近の履歴をカウント ※日付変更線を0時固定ではなく任意設定可能 ※指定ゲートを出退勤履歴対象に設定可能 ⇒執務ゲートを指定し、労働時間をシビアに把握 ※立寄/直帰も申請書と照し合せが可能 ※システムが整備されていれば、出張先もOK 勤怠履歴は帳票出力(A4縦で印字、PDF)やCSV出力が可能です。 ※給与計算や労務積算等は行ないません。 入退室管理システムで 「在館状況把握」や「BCP対策(安否確認)」 も可能 セキュリティゲートは通行人数、進行方向を検知し共連れや逆通行などの不正な通行を防ぎます 入退室管理では「許可された人物のみ通行可能」ということが前提ですが、通常の電気錠扉では「共連れ」などで、「アクセス履歴が残らない」および「許可を受けていない人物の入室」が問題となってきます。 セキュリティゲートは本体内蔵の赤外線センサーにより通行人数の検知、進行方向の検知が可能です。これにより、「共連れ」や「逆通行」といった不正な通行を防止することができます。 セキュリティゲートを設置することで、部外者の不正侵入を防ぎ、入退室の履歴を正確に残すことができます。
入退室管理では「許可された人物のみ通行可能」ということが前提ですが、通常の電気錠扉では「共連れ」などで、「アクセス履歴が残らない」および「許可を受けていない人物の入室」が問題となってきます。権限を持った人物のみ通行を許可し、正確に履歴を取りたいポイントには、セキュリティゲートを設置し、確実な一人通行行っていただく必要があります。
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